2015年02月06日

電子書籍の制作手順

 KDPやGoogle、koboなど電子書籍が気軽に出せるようになりました。
 しかし、誤字脱字やファイルの作り方がまずいものも多く見受けられます。
 電子書籍制作の仕事から得られたポイントを手順と共に書いてみようと思います。

1.原稿執筆
 原稿がなければ始まりませんので、まずは原稿を書きます。
 最終的に、テキストデータが得られればいいので、Wordやメモ帳など慣れているソフトを使ってください。
 メモ帳などのテキストエディタなら、テキスト形式にする手間がありません。

 書くときは、縦書きにするか横書きにするかをあらかじめ決めておきましょう。英単語やアルファベットなどは、縦書きにすると読みにくくなります。縦書きにするのであれば、半角英字の「Word」ではなく、カタカナで「ワード」と書いた方が読みやすくなります。略称など、アルファベットで書きたいものは、全角で書くようにします。
 半角英字で書くと、縦中横といって、文字が90度回転した状態で表示されます。この状態で読みやすいかどうかを判断してください。

 もちろん、書いた後で検索置換を使って変えてもかまいません。


2.校正・校閲
 校正は、文章の間違いを直すものです。
 校閲は、聞いたこともない人がいるかもしれません。文章の正しさをチェックするものです。確かこうだったとかではダメなので、参考にした文献などで確認をします。分かりきっていると思っていることほど、間違えるものなのできちんと確認してください。

 さて、校正は読み直して、文章の間違いを正すだけでは不十分です。人間の目は意外といい加減で、ひらがなが続いていたりすると間違いに気がつきません。また、脳内で勝手に補完してしまい、脱字に気がつかないこともあります。
 これを防ぐには、声に出して読んだり、音声読み上げソフトなどを使って、耳で確認すると確実です。
 音声読み上げソフトを使うと、文章の流れが悪いところや、説明が足りない部分なども分かるのでおすすめです。

 音声読み上げも万能ではないので、漢字の変換ミスはチェックできません。

 校歌を聴かせる。
 効果を利かせる。
 
 まずは、普通に読み直して誤字をチェックして、その後で音声読み上げで確認してください。

 特に電子書籍は、スマートフォンやタブレットの音声読み上げ機能を使って耳で読む人もいます。視覚障害者だけではなく、両手が使えないときなどに読み上げ機能を使う人もいますので、音声でのチェックはぜひ行ってください。

 こうしたことで、低い評価をされて売れなくなっている本がたくさんあります。


3.表紙・挿し絵などの制作
 表紙については、電子書籍に埋め込むものと、電子書店で表示に使うものとの二つ用意する必要があります。表示用は、JPEGが汎用性があります。
 書籍に埋め込む方は、PNGにします。拡大縮小してもきれいなので、端末のサイズや解像度の影響を受けにくくなります。
 PNGはそのままだとサイズが大きいので、できるだけファイルサイズを小さくします。Web制作用のサービスで、見た目を変えずにPNGのファイルサイズを小さくするサービスがあるので、これらを使うと簡単にできます。

4.EPUB制作
 制作の仕方はさまざまなので、ポイントだけ解説します。
 ビューアにある、システム目次はできるだけ設定してください。システム目次は、目次のページに飛ぶだけという作り方をしているものがあります。これでは、他の章に移りたいときに、余計な操作が必要になります。

 システム目次で、目次ページに飛んで、そこから目的のページに飛ぶ。
 システム目次で、目的のページに飛ぶ。

 ちょっとした手間ですが、けっこう煩わしいものです。 
 改ページが必要なところは、xhtmlファイルを別にする。
 紀伊国屋のkinoppyなど、改ページのタグが無視されるビューアがあります。確実に改ページをしたい場合は、xhtmlファイルを分けてください。

 上下左右に1文字程度の余白を設ける。
 電子書籍では、表示エリアいっぱいに文字があると、意外に読みにくいものです。余白をなくす機能はあっても、余白を増やす機能がないビューアもあるので、余白は設けるようにしてください。

 文字色や背景色は指定しない。
 スタイルシートで、これらの指定をしていると、ビューアで文字色を変えたときに、読めなくなることがあります。
 白文字で、黒背景に指定していると、ビューアで文字を黒くしたときに文字が見えなくなります。
 指定がない場合は、文字色を変えると背景が反転するので読めなくなるということはありません。
 koboなど、こうした指定があると、審査ではじかれることもあるので注意してください。

 文章中のURLは、リンクにしない。
 本を読んでいるときに、先を読むのではなく、本から離れることになります。Amazonでは、こうしたリンクがあると販売停止になることがあります。
 電子書籍端末の場合、ブラウザがスマートフォンやタブレットほど高機能ではないので、リンクで飛んでも閲覧できないこともあります。
 URLは、リンクにせず文字として表記してください。
 長いものなどは、短縮URLにして、入力しやすくするのも一つの方法です。

5.実機検証
 実機検証も重要です。
 ここで、システム目次や、書籍内でのリンクなどを確認します。
 弊社では、EPUB3.0で制作してるので、まずは、Sony Readerで検証しています。Sony Readerは、エンジンがAdobe Digital Editionsです。もう一つ電子書籍の表示に使われているのが、WebKitです。スマートフォンのアプリなどは、WebKitを利用しています。
 ほぼこの二つのエンジンを利用しているので、どちらのエンジンでも問題なく見られるかをチェックしています。

 また、多くの電子書籍製作会社がチェックしているのは、紀伊国屋のkinoppyです。こちらは、かなり制約が多い電子書籍ビューアですが、紀伊国屋のブランドのためか利用者が多くいます。

 電子書籍ビューアは様々なものがありますが、同じEPUBデータでもかなり表示が異なります。
 ブラウザほど、互換性がないので複数の端末やアプリで確認する必要があります。


6.書誌データ制作
 KDPやkobo、Googleだけなら、書誌データは必要ありませんが、複数の電子書店(ストア)に出すのであれば必須です。
 書籍のジャンル分類コードやジャンル名、キャッチコピー、250文字程度と750文字程度の書籍紹介文、書籍タイトルとサブタイトルにシリーズ名とそれぞれの読み仮名など、多くの項目が必要になります。
 特にジャンルなどは、売れ行きにも影響するのできちんと設定する必要があります。


 とまあ、こうした手順を経てやっと書籍が書店に並びます。

 Amazonにだけ出している人もいるようです。
 確かにAmazonは一番売れているのが現状です。しかし、Amazonだけに出しているのと、他のいろんな書店でも扱いがあるのとでは売り上げが異なります。Amazonの売り上げを見ても、Amazonだけの場合よりも他の書店に出してからの方が販売数は増えます。

 また、Amazonに及ばないにしても、楽天koboの売り上げがどんどん伸びています。

 私の書籍や、弊社で制作したものを見ると、Amazonのみよりも他の書店への展開をした方が、倍以上の売り上げになっています。4〜5割がAmazonですが、多くの書店に展開する方がメリットが大きいように思います。

 これは、当然のことで。自分の持っている端末で読めれば、その方がいい。一つの本のために、無料とは言えアプリを増やすのは抵抗があります。

 Amazonだけにしても、きっちりした電子書籍を作って欲しいと思います。電子書籍を利用する人の割合が増えるほど、みなさんの売り上げが増えるわけですから。

追伸:弊社では電子書籍の制作だけではなく、校正や校閲・制作のアドバイスなどもしていますので、お気軽にご相談ください。
posted by Outliner 伊藤 崇 at 07:00| Comment(0) | 電子書籍・出版
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